日本各地で、記録的な猛暑が続いています。7月23日には、埼玉県熊谷市で
国内の観測史上最高となる気温41.1度を記録。東京都青梅市でも40.8度を
観測し、東京都内では史上初めて40度を超えました。
このほか、岐阜県多治見市で40.7度、山梨県甲府市で40.3度など、
計4地点で40度超えを記録しています。この日は、全国927の観測地点のうち、
627地点で30度以上の真夏日に、241地点で35度以上の猛暑日となりました。
この連日の暑さで、全国で熱中症に罹る人が急増。総務省消防庁の集計に
よると、7月16日〜22日までの1週間に、熱中症で病院に救急搬送された人は
全国で2万2647人(速報値)と、前週の9956人より1万2691人も増えて、
過去最多となりました。このうち、搬送時に死亡が確認された人は65人で、
前週の12人から53人も増加しています。
都道府県別搬送者数では、東京都が1979人と最も多く、次いで愛知県の1954人、
大阪府の1779人、埼玉県の1617人、兵庫県の1188人、千葉県の1030人と
続いています。また、搬送時の症状については、3週間以上の入院が必要な
重症が685人、入院が必要な中等症が7313人に上り、年齢別では65歳以上の
高齢者が1万525人で46.5%、次いで18歳以上65歳未満の成人が8169人で36.1%、
7歳以上18歳未満の少年が3665人で16.2%を占めています。抵抗力の弱い
高齢者が多いのはもちろんですが、働き盛りの成人の割合が意外に多いと
いう点にも、注意が必要でしょう。
発生場所別でみると、住居が9462人で全体の41.8%を占め、ほかは道路が
2831人で12.5%、仕事場が2741人で12.1%などとなっています。
また、幼稚園や小中学校、高校、大学などの教育機関は2011人で、
全体の8.9%を占めています。これらの数字をみると、室内にいるからと
安心しないこと、仕事中や部活動、課外活動中の体調変化に細心の注意を
払うことなど、いくつかの注意すべきポイントが浮かび上がってくるでしょう。
連日の猛暑を受けて日本救急医学会は、学会として初となる「熱中症予防に
関する緊急提言」を20日に発表しています。提言の内容は、以下のようなもの。
(1)暑さ指数(WBGT)を意識した生活を心がけ、運動や作業中止の適切な判断を!
(2)水分をこまめに取ること。おかしいなと思ったらすぐ涼しい場所に誘導を!
(3)適切な重症度判断と応急処置を。見守りつつ改善がなければすぐ医療機関へ!
(4)周囲にいるもの同士が、お互いに注意をし合う!
特に、子どもや高齢者は熱中症になりやすいとして、「いつもと様子が違う」と
感じたら迅速に対応するよう求めています。また、「熱中症を疑ったときに
何をすべきか」といった応急処置のチェックシートや、重症度に応じた症状の
違いや治療法、救急搬送の判断なども、わかりやすく表にまとめられているので、
いざというときに参考にしていただけるのではないでしょうか。
気象庁の向こう1ヶ月の気象予報によると、沖縄・奄美地方は湿った気流の
影響を受けやすく、降水量が多く気温は低いものの、北日本から東日本、
西日本では暖かい空気に覆われやすく、気温は高いと予想されています。
猛暑が続いたとはいえ、まだ7月。夏本番の8月はこれからスタートするだけに、
これまで以上の熱中症対策が必要となるかもしれません。
地域のクリニックには、高齢者や小児など、熱中症を発症するリスクの高い
患者さんも多く訪れます。患者さんに合わせた熱中症対策のアドバイスなど、
地域住民の健康を支えるかかりつけ医の役割は、ますます重要となってくる
のではないでしょうか。
◆「熱中症予防に関する緊急提言」(日本救急医学会)
http://www.jaam.jp/html/info/2018/pdf/info-20180720.pdf
医療メディコムメルマガからの転載です
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