2014年01月12日

小児の睡眠時無呼吸症候群について 中田准教授のご講演

 私たちの耳鼻科医の仲間(10人程度)で、定期的にご高名な先生をお招きして、個人的な勉強会を行っています。
今回は、藤田保健衛生大学 第二病院(金山)耳鼻咽喉科 准教授 中田誠一 先生にお願いし、討論させていただきました。大人の睡眠時無呼吸SASは多くの先生が手掛けて見えますが、小児のSASを扱っている先生は少なく、中田先生は東海地方で小児の睡眠時無呼吸SASの第一人者と言っても過言ではありません。

 アメリカでのCHAT Study 2012 のデーター等の説明がありました。小児の手術群(アデノイド扁桃摘出術)では約80%も改善率、小児で手術をせずに経過観察群では40%の改善率とのご説明がありました。5歳以上では自然に軽快する例もある(扁桃肥大の縮小や鼻疾患の治療により)。しかし、放置しておくと、下顎の発育抑制や、成長ホルモンの分泌抑制などの報告もあり、4歳未満でも積極的に手術を考慮する必要があるとのお話でした。小児でも、6歳以上の小児では大人のように肥満例が増加し大人のパターンに変化してくるようです。小児も肥満にご注意下さい。逆に、小児は肥満に関係しないSASが多くみられるます。
 小児のSASは、多動などの異常行動も見られることもあり、大人のSASとはかなり症状が異なっているとのことでした。なかなか、興味深いお話でした。小児の場合は、扁桃やアデノイドの肥大があったり、鼻の病気の合併もあり、検査も難しく大人のようには事は運びません。

 小児のSASは、いびきが大きい、呼吸が乱れる、多動、攻撃性、引っ込み思案など、異常な行動も関係がある場合があります。また、鼻疾患(副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎)なども影響する場合があります。ご心配の折には、当院等にご相談ください。ご希望により専門医療機関へのご紹介もさせて頂きます。
 
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2013年06月01日

CPAP使用中のチェックは?

 睡眠時無呼吸症候群SASの究極の治療であるCPAPの器械は、正常に作動しているかどうかは、どうチェックするの?
その、疑問にお方えしますね(笑)

 器械が上手く作動しているかどうかは、実は、付けている本人が一番よくわかっています。毎日、気持ちよく睡眠が取れていれば、通常は問題なく、作動していますので、特に、チェックの必要はありません。
なお、マスクやベルトなどの付属品は、通常の使用状態なら無料で交換していきますので、これも心配無用です。
 でも、たまに、うまく使えているか不安、症状が改善していない、使い始めで大丈夫かな、のチェックはどうすればいいのか?
 実は、メモリーカードを機械にセットすると、CPAP本体に記憶されている過去の使用データーがそのカードの中にコピーされます。カードは嘘はつきませんので、さぼっている日がばれてしまいますよ(笑)
 
左は、S8という機械のメモリーカードです(外国製の器械ですので英語の説明書になっています、申し訳ありません、使用する場合は日本語でご説明いたします)。右は、その解析結果です。マスクのリークが少しありますが、AHIが5回以下となり、ほぼ正常にCPAPが使えていることが判ります。マスク固定のベルトを少し強くするなどの、多少のリーク対策は必要かも知れませんが、うまく使えていると思います。
当院のパソコンにもこの解析ソフトはインストールしてありますので、迅速に解析可能です。

ご理解いただけましたか?
チョット難しかったですかね〜・・・・?
解らないことは、診察時に、いつでもご相談ください。

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2013年05月31日

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査結果について

 「いびき」「無呼吸」「昼間の眠気」などの症状で、睡眠時無呼吸症候群SASを心配されご来院されます。当院では、取りあえず携帯型のPSGで、検査を行います。どのような結果が判るのか、皆さん興味があるところと思いますが。別紙のような、一般の方でも解りやすい検査結果のレポートを差し上げます。
 この方は、AHIという、無呼吸低呼吸指数という数字が61.3と表示されています。これは、一時間に61回も呼吸が止まったり弱くなったりするということです。5回以下が正常ですので、非常に重症のSASということが判ります。最長、106秒も呼吸が弱くなったり止まったりしています。驚きですね。
 CPAPでの治療をお勧めする症例です。
このような、結果用紙をお渡ししますので、ご自宅でも、よくご検討いただきながら、治療を進めていきたいと思っております。
 なお、詳しいご説明は http://matsunaga-clinic.or.jp/illness/sahs.html 当院の無呼吸のページをご参照ください。ご質問があれば、個々のケースで異なりますので、診察の時に、ご相談ください。

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2013年05月24日

「小児睡眠時無呼吸」手術で改善

 従来から、私の持論である、小児の睡眠時無呼吸は、大部分が、扁桃摘出術、アデノイド切除術で、改善すると、患者さんにもご説明してきました。特に、扁桃肥大、アデノイド肥大がある方は、その傾向があります。もちろん、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、などの鼻の病気の治療も積極的に進めることにより無呼吸は改善します。
 陥没呼吸が見られる、胸骨が陥凹している、いびきが大きい、睡眠中の呼吸が乱れる、扁桃、アデノイドが大きい、鼻が悪いなど、気になる項目がある、幼児のお子様は、当院までご相談ください。

 今回、外国の文献ですが、同じような意見の発表がありましたので、ご紹介します。


文献:Marcus CL et al.A Randomized Trial of Adenotonsillectomy for Childhood Sleep Apnea.May 21, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1215881.

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群の5-9歳児464人を対象に、早期のアデノイド切除・口蓋扁桃摘出術の転帰改善効果を無作為化試験で検討(CHAT試験)。経過観察群に比べ、手術群の発達神経心理学評価の注意・実行機能スコアに有意な改善は見られなかったが、行動、生活の質、睡眠ポリグラフ所見の有意な改善および症状の改善が見られた


その原文です
A Randomized Trial of Adenotonsillectomy for Childhood Sleep Apnea
Carole L. Marcus, M.B., B.Ch., Reneé H. Moore, Ph.D., Carol L. Rosen, M.D., Bruno Giordani, Ph.D., Susan L. Garetz, M.D., H. Gerry Taylor, Ph.D., Ron B. Mitchell, M.D., Raouf Amin, M.D., Eliot S. Katz, M.D., Raanan Arens, M.D., Shalini Paruthi, M.D., Hiren Muzumdar, M.D., David Gozal, M.D., Nina Hattiangadi Thomas, Ph.D., Janice Ware, Ph.D., Dean Beebe, Ph.D., Karen Snyder, M.S., Lisa Elden, M.D., Robert C. Sprecher, M.D., Paul Willging, M.D., Dwight Jones, M.D., John P. Bent, M.D., Timothy Hoban, M.D., Ronald D. Chervin, M.D., Susan S. Ellenberg, Ph.D., and Susan Redline, M.D., M.P.H. for the Childhood Adenotonsillectomy Trial (CHAT)
May 21, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1215881

Background

Adenotonsillectomy is commonly performed in children with the obstructive sleep apnea syndrome, yet its usefulness in reducing symptoms and improving cognition, behavior, quality of life, and polysomnographic findings has not been rigorously evaluated. We hypothesized that, in children with the obstructive sleep apnea syndrome without prolonged oxyhemoglobin desaturation, early adenotonsillectomy, as compared with watchful waiting with supportive care, would result in improved outcomes.


Methods

We randomly assigned 464 children, 5 to 9 years of age, with the obstructive sleep apnea syndrome to early adenotonsillectomy or a strategy of watchful waiting. Polysomnographic, cognitive, behavioral, and health outcomes were assessed at baseline and at 7 months.

Results

The average baseline value for the primary outcome, the attention and executive-function score on the Developmental Neuropsychological Assessment (with scores ranging from 50 to 150 and higher scores indicating better functioning), was close to the population mean of 100, and the change from baseline to follow-up did not differ significantly according to study group (mean [±SD] improvement, 7.1±13.9 in the early-adenotonsillectomy group and 5.1±13.4 in the watchful-waiting group; P=0.16). In contrast, there were significantly greater improvements in behavioral, quality-of-life, and polysomnographic findings and significantly greater reduction in symptoms in the early-adenotonsillectomy group than in the watchful-waiting group. Normalization of polysomnographic findings was observed in a larger proportion of children in the early-adenotonsillectomy group than in the watchful-waiting group (79% vs. 46%).

Conclusions

As compared with a strategy of watchful waiting, surgical treatment for the obstructive sleep apnea syndrome in school-age children did not significantly improve attention or executive function as measured by neuropsychological testing but did reduce symptoms and improve secondary outcomes of behavior, quality of life, and polysomnographic findings, thus providing evidence of beneficial effects of early adenotonsillectomy. (Funded by the National Institutes of Health; CHAT ClinicalTrials.gov number, NCT00560859

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2012年12月27日

SASのための新規導入器械

当院では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の、新しい簡易検査機器を導入しました。FUKUDAのLS120 という機種で、特徴は、ご自宅で検査が出来る簡易型ながら体位も測定可能です、指のセンサーも装着しやすくなり、使いやすい器械となっています。 当院では、SASの簡易測定機器は、LS100が2台、LS120が1台の3台体制となっており、検査をお待たせすることが少なくなりました。これらは、ご自宅でスクリーニング検査ができ、簡便で大変有用で、大部分の方が簡易検査で診断が着くことが多いようです。なお、この検査では判定が不明瞭な場合には、ご紹介の上で、他施設で入院の上の精密検査を実施していただきます。
「いびき」「昼間の眠気」「脱力感」等で、お悩みの際には、当院にご相談ください。

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2012年04月02日

いびき(舌扁桃肥大)

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「⇒」が「舌扁桃」「舌根扁桃」とも呼ばれていますが、舌扁桃が喉頭蓋を圧迫している様子がよくわかります。このような方では、咽喉の異物感の原因になったり、睡眠時に、いびき、睡眠時無呼吸の原因にもなっています。嚥下にも影響することもありそうです。舌根扁桃の肥大に対する治療は、なかなか難しいのが現状です。気になる方は、耳鼻咽喉科を受診してください。 
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